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ぶくぶく日記 その1
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「ロットネス海峡横断泳」無事完泳しました。沢山の応援、有難うございました。
過去の5回とは全く違う練習をつんで望んだのですが、おかげ様で9時間03分16秒も泳げてしまいました!!今の感想は一言「おもしろかったぁ〜」泳いでいる最中はイライラすることも、淋しくなることもありましたが、意外にも「つらい」思いはせずに泳げました。空腹の辛さは多少ありましたが…。 当日の朝、風はビュービュー、空は暑い雲に覆われていました。「今日は長旅になりそうだよ、船長と仲良くね」とマネージャーを送り出し、AM5:00 ビーチは悪天候のせいか、いつもと違う少し重たい空気に包まれてる感じがしました。スタートは30分遅れの6時15分。直前に「このコンディションだから無理しないように。途中リタイアすることがあっても、決して残念なことではないのだから」とブライアンに言われ、自分の気持ちがリセットされた気がしました。「船長に”ダメ”って言われたらやめますね」と返事をし、スタート位置へ。 |
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| 不思議なことにすごい向かい風と迫り来る波を目の前にしても、とてもリラックスしていました。隣にいた男性が頬をパチパチと叩きながら「Just keep Swimming」と気合いを入れた直後、歓迎のシャワー(*一時的な大雨)とともにスタートの合図。この言葉はゴールまでの間に何度も蘇ってきました。スタート後、今回3回目のパドラーを引き受けてくれたクリスとスムーズに合流、その後ボートとも合流して後は泳ぎ続けるだけと思った矢先、クリスが遅れる。いつまでも私の視界には入ってこず、止まってキョロキョロ。その間に方向感覚を失ってしまったようで再び泳ぎはじめ、前方を確認すると陸が見える。「もう着いちゃった」と一瞬思ったのですが、ボートから「逆、逆!」との大声に真後ろに泳いでいたことに気づき、水中で赤面したのでした。その後もクリスは遅れては追いついての繰り返しで、スタート終了4時間たったぐらいにとうとうボートから指示がでたのです。 |
| 船長が「○&#%$#?」私に理解できたのは「ヘッドアップとゴー」だけ。自分でコースをとって泳げっていうの!?マネージャーの指示をまっているとその通り。「クリスがダメそうだから船に乗せる。先に泳いでいって!すぐ追いつくから…」「まじ〜!?泳げってどっちにいけばいいのよぉ〜」と思いながら目の前に広がる船の中から目印を決め泳ぎはじめる。 |
| その後も風と波のせいで船は近づけない状態、クリスは何回かパドラーを務めようとするが、やはり続かず。船に乗ったまま、その間、「今まで泳いだのは何だったの?」と思わせる程、直角に曲がるくらいの方向転換の指示を2、3回受け、しばらくムッとして泳いでいたのですが、その時、思い出したのが「Just keep Swimming」の言葉だったんです。時間も距離も分からず、ボートは声の届かないところにいるし、補給も30分に1回のはずが後できいた話だと1時間30分に1回になっていて、かなりイライラしている所へ、白キャップの女性がすぐ横を泳いでいるのに気づいたんです。「この人もソロだ。一緒に泳がせてもらおう」なんて感じでしばらく並行して泳いだんですが、その時、お互いが「ゴール目指して頑張ろうね」って励ましあっている感じがしたんです。 |
| とても気持ち良く泳げている自分に気づき、疲れた泳ぎをしていない、リズムが取れてる、肩も回ってる、波の嫌がらせに負けず自分の思い通りの泳ぎができている実感、気分はサイコー!でした。 また、他のスイマーのパドラーが方向を指示してくれたり、あるときは、大きな船が近づいてきて、4〜5人の男性が方向を失ってキョロキョロしている私に、君のボートは後ろにいるから安心して、このままこのボートについて泳げ!! 頑張れ」といってくれたり(ただ、英語で話されたので本当にそう言ってくれたかはわからないのですが、その時は、そう聞こえたのです)。なんだか、みんなが、私のサポートをしてくれている感じがして、いろんな状況に起こる出来事がおもしろくなってきたのです。 |
| ただ、補給が充分にできず、だんだんおなかがすいてきて、おまけに手足が少しづつ冷たくなってきて、声が届かぬ船にむかって”ゼリーがほしい!”のジェスチャーをするが、返事は大きな×印。あまりにも悲しい答えに“ I am hungry”と 呪文のようにとなえながら泳いでいたのですが、不思議とこの頃の思考はなぜか、英語バージョンになっていたのでした。そのうち、ゴールが近い合図のように、水面下に広がる海藻が見えてきた頃、クリスが最後の力をふりしぼって、パドラーを努めてくれました(ゴールしてから知ったのですが、右大腿部を痛め、肉離れに近い状態だったそうです)。 |
| 足がつき、顔をあげ、いつものまぶしい太陽とたくさんの声援につつまれたら、すごく大きな満足感と感謝の気持ちでいっぱいになり、その声援にひとつ残らず答えたくて、両手を大きくふりながらゴールしたのでした。ゴール後は、あまりの空腹に思考能力ゼロといった感じでしたから、大貫さんの「お疲れ―! よく泳いだ.9時間だよ、よく頑張ったあ」の興奮した声に、“えっ、誰が? 私のこと?9時間も?それよりスイカ、スイカ、メロン、メロン”とただ、バクバク食べて、やっと落ち着いた頃いろんな事情を理解したのでした。寒くてガタガタ震えていたのですが、体に痛みはなく、自分では、いくらなんでも8時間はかかっていないだろうなんて思っていたんです。なにせ”泳げていた”実感があったから。体は充分、動いていた上に、次から次へいろんな事が起こり、時間の感覚がなくなってしまったんですね。 |
| あの日を思い起こすと“レース”はできませんでした。でも、最後まで自分の泳ぎができたこと、それが、スキッパー(船長)、パドラー、マネージャーの大きな信頼関係によって引き出されたように思います。そして、この大会を成功させたいと思っているたくさんの人たちのパワーをずっーと与えてもらっていたから泳ぎ続けられた気がします。何よりもそのことに気づかせてもらったことによって、今までにない、満足感を味わうことができました。ある意味、無欲に、ある意味、貪欲に望んだことで、また海のコンディションが悪かったことで得られたこの満足感が、少しでもみなさんに伝えることができたら幸いです。 (海人くらぶ通信39号 2003年3月8日発行 ぶくぶくパッ日記15より) |